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toremomachiuke


格闘ゲームでユーザーにとって便利な機能の一部、例えばキーディスプレイに関するものやフレームの有利不利に関するもの、トレモ待ち受けしつつ対戦相手を検索する機能などは、特許侵害を回避するために開発側が使いたくても使えないケースがあるようです。

例えば、”トレモ待ち受けをしながら同時に相手を検索する機能”は特許を取得されているため、実装することが難しいと発言している開発者もいます。

その例として、「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」では、以下のような仕組みになっています。
・クイックサーチ:待ち受けつつ、誰かマッチング出来ないか探しに行く
・カスタムサーチ:待ち受けつつ、凸れる人の一覧が出てそこから選んで凸る
・トレーニング待ち受け:待ち受けるだけ
よって、プレイヤーが全員”トレーニング待ち受け”しかしていない場合は、マッチングしないことになります。
これは特許回避のため、あえて開発側がこのような仕様にしており、トレモ待ち受けで凸りつつ凸られる仕様にすると、特許侵害の可能性があるとのことです。
その解決策として、特許侵害を回避するために”トレーニング突撃”か”トレーニング待ち受け”のどちらかだけを実装することになります。
【MBTL】クイックサーチ・カスタムサーチ・トレーニング待ち受けの違い

上記の機能は、格闘ゲーム開発の老舗メーカーであるカプコンが取得している特許にそれらしき記述があります。
その他にも、硬直の残り時間を数値やグラフで表示したり、キャラの表示態様を変更する機能、大雑把に言えばフレームの有利不利を正確な数値で表示する機能の特許を取得しています。

この特許の影響なのかどうかわかりませんが、KOF15ではフレーム表示が+や-といった曖昧な表示に留められています。
2021-11-22 (5)


実際にどんな特許があるのかは、J-PlatPatで「格闘ゲーム」と検索するなどして調べることが出来ます。
前述のトレモ待ち受け関連の機能やフレーム表示に関する機能以外にも、スタートボタンの誤操作を防止する機能、鉄拳のチキンマーク表示機能、コンボ練習でボタンを押すタイミングを教えてくれる機能など、様々な特許が存在するようです。

カプコンとバンダイナムコが格闘ゲーム関連で取得している特許の一部として、以下のようなものが確認できます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2010-167251/906B714C35A9C1465E8B8B8A3328E7A48BC04F563E4DB00ED9E40182C03627A6/11/ja
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-6840115/EAB96175CAD0BA89CD03DE24514D41915DF437277B4902093240129D1033431C/15/ja


https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-3325262/504CF3B4845F5758EA1718576473D91995CCA2EABCD9B73EEA49EDBD698669A3/15/ja

バンダイナムコはトレーニングモードで入力履歴をリアルタイム表示するような仕組みの特許を取得しているとのことです。
原田P:
 その代わりに,うちが持っている,多くの格闘ゲーム関連の細かい特許──1つの例を挙げると“プラクティスモードで入力履歴をリアルタイム表示する”みたいな仕組みを,カプコンさんに無償で提供しています。これはお互いに格闘ゲーム業界を盛り上げるという目的のために,「壁を取っ払って」やっていることなんです。とにかく格闘ゲームをお互いに盛り上げようと,プレイヤー全体の利益になることを考えてやってます。

https://www.4gamer.net/games/327/G032733/20160305001/

カプコンとバンダイナムコは、2017年6月にオンラインマッチングに関する特許クロスライセンス契約を締結したことを発表しています。

カプコンがバンナムとオンラインマッチングに関する特許クロスライセンスを締結。ストシリーズ等へ活用


ゲーム業界は互いに何らかの特許を侵害し、侵害されあっていたりする、なあなあな文化もあったようですが、無用な法的トラブルを避けるために開発側の様々な試行錯誤があるようです。

ゲーム業界での特許を巡る対立は、最近では任天堂とコロプラの特許侵害訴訟が記憶に新しいところです。

「侵害予防調査」の立ち位置から見た「白猫プロジェクト関連特許」

https://note.com/sakaimisato/n/nab1ff505bee5

任天堂vsコロプラ特許侵害訴訟の経緯を分かりやすく解説

任天堂とコロプラが和解、「白猫プロジェクト」の特許権侵害訴訟で 和解金33億円

コナミの「BEMANI特許」とは何だったのか 失効から3年のいま振り返る、近代音楽ゲームの基本特許

任天堂の法務部は、なぜ最強と言われるのか?勝訴した5つの裁判から見るしたたかな戦略

https://legalsearch.jp/portal/column/nintendo-legal-department-strategy/