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tokido-interview2018


先週末にアメリカで開催されたカプコンカッププロツアー・プレミア大会「Combo Breaker 2018」で収録された、ときど選手のインタビュー動画がYouTubeで公開されています。

今回のインタビューは2時間のロングインタビューということで、スト5の話はもちろんメンタルトレーニングの話など、ほとんどすべてを語り尽くした内容となっています。
スト5で安定した成績を残してきたときど選手の原動力にもなったメディテーション(瞑想)についても詳しく語られています。





※タイトルを変更しました。
旧:
ときど選手「今の豪鬼は一番強い。Vトリガー1は強すぎる。」「豪鬼はいつも強キャラだから調整で悩んだことはない。ちょっとくらい弱くなっても、武器がたくさんある。」

新:
ときど選手「瞑想で心を鍛えてプレイ中に心が乱れなくなった」「獣道は”ウメハラさん、肝心のゲームの腕前どうなってるんですか?”という問いだった」「豪鬼最強、Vトリ1強すぎる」



以下、書き起こしです。
あまりにも書き起こしの量が多いのと、BornFree氏の動画を直接見て欲しいということもあるため、全文書き起こしのような詳細にわたるものは今回が最後になるかもしれません。



大会での安定した強さについて
・大会で勝ったからといって満足していない。たまたま勝っちゃったなという感覚が強い。普段の対戦では、お互いが極まった状態でどうなるのか考えながら常に練習している。ゲーム以外ではメンタルがすごく大切だと思う。そういったところに取り組んでいるから結果が出ていると思う。
・ゲーム以外では、起きた後必ず運動している。心拍数を上げてから落とすことで体が集中できる状態になる。普段の練習でも大会の前でも同じことをやって臨むようにしている。その方が良いパフォーマンスが出せると自覚している。
・こういう風にプレイすれば勝てるという良いイメージを持って、常にその通りにプレイ出来ていると思う。
・緊張している時は無理にでも笑って緊張をほぐすことがある。


獣道で戦ったウメハラ選手への思い
・スタイルを変えたきっかけは、ももち選手と10先をやる2~3か月前に、Mad Catz Unveiled前日にウメハラ選手が「仕上がったから対戦しろ」と言われて10先でボコボコにされたこと。今まで一番衝撃的だった。あまりにも人間の動きとかけ離れててbotか何かのインチキをしてると思った。その直後にももち選手に、序盤リードから対応されて逆転された酷い試合をした。その時に、このままやっていたら、ももちみたいな真面目にやるプレイヤーが増えたら生き残っていけないと思わされた。格ゲーで強いとはどういうことなのか?いろんな格ゲーで勝ってきたけど、それって本当に強いことなの?と思った。
・獣道でウメハラ選手と10先をやろうと思ったきっかけは、5年前のUnveiled。あれから取り組み方や考え方、プレイスタイルが変わった。ひょっとしたら既にウメハラ選手を越えてるんじゃないか、確かめるチャンスは今しかないと思った。
・どちらが強いか決めるなら、1~2か月準備期間を設けて、お互いの組み合わせだけに集中していいという取り決めが必要。2~3先だとランダムクラカンとかで調子よく勝つこともあるから、10先くらいやればお互い納得する。バランスを考えると10先がベスト。
・ウメハラ戦の準備は、日本のガイルのトッププレイヤー・やんぼ氏とやっていた。東海地方の人なので、オンライン対戦になってしまった。LINEとかでやり取りしながら詰めていったけど、直接話したりしなかったのはもったいなかった。やり方が不十分だった。やんぼ氏の方ではなく、自分の責任。自分から出向いて泊まり込みするくらいの試みはすべきだった。
・負けた後は、自分が甘かったと思った。5年前に比べて良いプレイヤーになったのは間違いない。業界のトップに立てるほど強くなったわけじゃなかったというのを見せつけられた。まだまだダメなんだろうな、どうすればいいんだろうなと思った。
・自分がナンバーワンだとは思えていない。次に機会があるなら、もっとこういう取り組み方をしたいという具合的な案がある。
・「ゲームの中くらいは勝ちたかった」と言った意図は、ウメハラ選手は勝つだけの人じゃなくて、ああいうイベントをやって何万人も人を集めて、プレイヤーとしてだけでなくオーガナイザーとしての役割を果たしている。自分はそういうことをは全くやらずにゲームの腕を磨くことしかやっていなかったので、勝ちたかった。それに対して「ゲーム以外は全然勝ってる」と言われたのは、東大卒だったり英語を喋れるとかそういうことについて言ったんだと思う。食い違っていた。
・ウメハラさん最近いろんなことやってますけど、肝心のゲームの腕前はどうなってるんですか?という問いだった。それに対してちゃんとやってきた。結果で示された。完敗。
・(憧れや尊敬といった気持ちが)ウメハラ選手との対戦で精神的にも影響があった。あまりにも相手を高く見すぎているのは、良くない。それは次までになんとかする。新しい取り組み方は考えているので、いざやろうとなったら試そうと思っている。


シーズン3.5の豪鬼
・今の豪鬼は一番強いと思う。結構難しいこともしないといけないし、やりがいがある。モチベーションが湧いてくる。まだまだ出来ていないこともある。自分は満足して使っている。
・Vトリガー2を使うのは、ネカリとザンギ戦。ザンギはVトリ1の斬空が機能しずらいから。でもザンギはどっちを使っても勝てちゃう。ネカリ戦はネカリがVトリ発動した時にVリバ出来ないから、削りダメージで倒しきれるとか、豪鬼のVスキルPに反撃が難しいからVトリゲージが溜めやすくて2回発動できるのが強い。豪鬼のVトリガー1は強すぎるくらい協力。ほとんどの組み合わせがVトリ1になってしまう。1を弱くするか2を強くするかしないと、2はなかなか何かがかかった試合で使われることはあまりない。
・最近豪鬼使いが増えていることについては、自分がベストのプレイヤーだと頑張って示さないといけないと思う。スト4から10年以上使ってきているので、負けられないなという感じ。特に同キャラで負けると嫌な思いをするので、次にやる時は勝てるようにしている。ハイタニ選手とかは最近かなり強いので、ひどい負け方をする日がある。


メンタルトレーニングについて
・石川博士には色々教えてもらった。集中しすぎていると指摘してもらったし、瞑想を勧められたのも石川先生。詳しいことは忘れたけど、人間はそんなに長い時間集中できないからどこかで休憩しないといけない。格ゲーならラウンド間や演出中は脳を休めるのを意識してはどうかと言われて、それを実践して違いを実感している。
・京都の寺に修行に行って瞑想の練習をしたことがあった。いつもの練習通りの動きが大会になるとできなくなる理由が分からなかった。とあるツテで行ってみて、やり方を教わった。もう覚えてないけど、合理的な説明をされたのは覚えている。
・瞑想の仕方は、自分の呼吸に集中して、それ以外の事は考えない。あとは自分の意識を客観的に「あ、今違うの事を考えているな」と認識して元の状態に戻す。○○瞑想みたいな名前がついていると思う。格ゲーにかなり役立っている。起き上がりの昇龍パナシを食らった時に「あ、自分いまイラついちゃったな」とか客観的に見れるようになる。呼吸に集中する瞑想で訓練されているから、慣れてないと乱れるようなプレイ中の出来事に、自分の心が乱れなくなっている。


カプコンカップ2017
・ごまかしきれなかった。あの組み合わせは自信がなかった。ウィナーズで勝ったりグランドファイナルで追い詰める事は出来たけど、長期戦で長いスパンでやったらきついだろうなと思っていた。ごまかしきりたかった。組み合わせについて分かっていなくても、大会でごまかす力もときには必要。むこうが対応する前にわからん殺しとかやらざるをえなかった。MenaRD選手は他のバーディー使いと比べて抜けて強い。長期戦になる前に倒そうと思って出したあの昇龍拳は今思っても恥ずかしい。MenaRD選手は本当にいいプレイヤーだと思う。


人生で犠牲にした事
・(犠牲にしてきたことは?)自分にとって大きいとは思っていないけど、大学院修士課程をやめてプロゲーマーになったのは言われる。好きでやっているので犠牲だとは思わない。極端に趣味がないとか、格ゲー以外に時間を割かないのはある。
・自分の中で大きな決断はあまりしたことがない。一番大きなのはゲームで生計を立てるという決断。そうした方が自分の人生が彩のあるのもになると思ったので後悔はしていない。
・あまり友達はいなかった。中高くらいから、ほとんどゲームのコミュニティの友達ばかりだった。そういう人達と今でも過ごす時間は長い。


持ちネタ
・2010年にClackyDを倒した時のズレ天パフォーマンスは、その場でやろうと決めたんだと思う。あまり覚えていないけど、あれくらいのことをやるんだから、事前に考えていないと出来ないと思う。あの頃はあまり対戦相手の事を考えていなかった。ちょっと悪いことをしたかなと思う。どんな思いで大会に臨んでたか分からないままやってた。対戦相手が全てをささげて大会に出てるなら、ああいうことはしづらい。知らない人に今は出来ない。友達とかよく知ってる人なら今後もやりたい。
・(色々あるネタのなかで)背中に天のプロジェクターが今でも面白かったなと思う。


今シーズンのCPT
・今までのCPTの結果は満足。大会では勝てているけど、この組み合わせってまだまだ極まっていないなというのがある。そこを目指してやっていきたい。この組み合わせは最終的にはこうだろうなとか、こうやったらどうなるんだろうなというのを日々やっている。大会に勝つために何かをやっているわけではない。こうしたら面白い、こうしたらどうなるのかなというのが最近のトレンド。新しい戦い方をしないと追いつかれるので、新しい発見をするように心がけている。


バランス調整とeスポーツ化
・豪鬼はいつも最上位キャラなのでバランス調整で悩んだことはない。ちょっと弱くなっても、足りないくらい武器がたくさんあるので自分自身は悩まない。周りのプレイヤーが悩むのはよく目にしている。そこは失礼かもしれないけど、個性があって面白い。ボンちゃん選手がナッシュを使っているのは、あいつのナッシュを見たいなと思わせるくらい良いプレイをしているうちは需要があってこの世界で必要だと思われるプレイヤーだと思う。マゴがラシードからキャミィに変える中で、ラシードのままのプレイヤーがいたりして、人それぞれ考え方が違う。大きな調整をされるキャラを使うのは大変だなと思う。豪鬼はいつもすごく強いので、あまり偉そうなことは言えない。そういう経験があまりない。
・勝つことが一番大切なのは間違いないけど、自分の主張を通す、面白いものを見せたいというプレイヤーがいてもいいと思う。その思いが強ければ配信でみんなに見てもらえるくらいは弱キャラでも勝てると思う。豪鬼は順当にやってれば勝てるキャラなので、そういうプレイヤーは偉いなと思う。
・人が使わないキャラで、ワクワクさせるプレイをするプレイヤーはナンカイイなと思う。
・格ゲーのeスポーツ化が進んでも正しく理解されたい。賞金がいくらで華々しい世界だという紹介は、何も知らない人向けには必要だと思う。ただ、どこかで自分や上の世代がゲームをやってきたのは簡単じゃなかったというのを分かって欲しい。金になるからとか注目されるからじゃなくて、ただ好きでゲームをやっていたことを知って欲しい。学校でゲームやってるなんて言ったら体育会系の人たちに白い目で見られた。格ゲーへの思いは、彼らがスポーツを好きだった気持ちよりも強いと思う。マイノリティだったし、本当に好きでやっている気持ちしかなかった。歴史をちゃんとわかって欲しい。


ELeagueへの準備
・対戦相手が分かっていて賞金が大きいので、いつも以上にキャラと相手を意識してかなり練習している。


メンタルを鍛えるのに参考になった本とゲーム内の心理戦
・どうやって心を鍛えるのか?とか、いろんな本を読んだ。アスリート達がどうやってパフォーマンスを本番で発揮するか学術的に研究されている。ゲームだとあまりされていない。スポーツ関係の本はすごく参考にした。
・テニスプレイヤーのパフォーマンスについての話は感銘を受けた。テニスで勝つプレイヤーは休憩時間の時間の使い方が上手いというのを読んだ。ショットを決めて数十秒でベストの状態に回復させるのが上手いプレイヤーは大会で勝つ。集中しすぎて持続しないと指摘されていた時期だったので、ラウンド間とかで呼吸を整えて次の試合に臨むようにした。
・NuckleDuとかPunkの屈伸とかマインドゲームを仕掛けてくる相手にあまりやられたことがないので、どう対処したらいいのかは分からない。自分は挑発コンボが好きでやるけど、対戦相手よりもこういうかっこいい決め方があるんだという気持ちでやる。対戦相手には精神的なショックだったかもしれないけど、昔のゲーセンはもっとすごかった。むこうから灰皿が飛んできた経験はないけど、怖いお兄さんに胸ぐら掴まれて「お前ちょっと外出ろ」って出されたような経験をしている。ゲームの中でされるくらいなら怖くない。


新キャラ「ファルケ」
・使ってみた感じででは弱いなと思った。ただジャスティンが使って勝ってるのでこわい。ファルケはあまり使い手がいないので新しいことを覚えなくて良さそうなのはラッキー。ファルケを楽しみにしてたプレイヤーからしたら、物足りないのかなと思う。

新キャラ「コーディー」
・自分がコーディーを使うことはたぶんないと思う。
・友達かどうかをさておき、ももち選手が期待しているキャラだと思うので面白いキャラだったらいいなと思う。


他の格闘ゲームについて
・やってみたい気持ちはある。ただ、やってしまうとスト5に支障が出る。
・他のゲームもやりながらプロレベルのパフォーマンスは無理。プロになるのが目的ではなく、ナンバーワンになるのが目的。色々なゲームをやるのは目的にそぐわない。
・複数ゲームをやりながら頭を切り替える方法は忘れてしまった。昔はレベルが高くなかったしゲームで勝つことに真剣でなく楽しむことを考えていたから色々なタイトルで勝てた。SonicFoxとかdekillsageとかいろんなタイトルで勝てるのはすごい。自分たちの頃とは違って、すごく難しいことだと思う。
・今、楽しんでやっているゲームはドラクエライバルズ。